バイエル

ここは練習場

自分が解放される時間

 京王線をご存じでしょうか。そう、高尾山行くときに乗る電車。それに乗って私は街に出るんです。高尾山とは逆方向に。明大前で乗り換えて。あ、こういう歌詞の曲ありましたね。

 仕事帰り、渋谷に繰り出します。用事もなく、あてもなくふらふらと。と言っても結局行くとこは毎回同じで、渋谷のMODIっていう元マルイのビルにはいっているH&MBooksへ。最近はアイドルのイベント会場みたいになってきている本屋さん。3フロアあるすべての階でイベントをやっていて、フロアごとに集まる人が違っていて楽しい。不思議な空間です。

 アイドルの歌声を遠くに聞きながら、本棚の間をぶらぶらします。本棚に収まっている、今は誰にも読まれていない本という静的なものと、イベントという今まさに何かが起きている現場、その対比が何とも言えず好きです。

 そういう場所にいると自分が宙に浮いたような感覚になります。誰からも認識されず、ひっそりと音を聞いてる自分は、存在するような、存在しないような。

 自分がいなくてもいいという事実を思うと、なんだか解放された気分になります。そういう時間が、私にとっては大切な時間です。